相続でよくある誤解「3選」
相続でよくある誤解「3選」
誤解【その1】相続対策はお金持ちがするもの
相続対策には「相続”税“」対策と「揉め事」対策がありますが、「お金持ち」がするのが「相続”税“」対策で、「揉め事」対策に関しては、ほぼ全ての家庭に必要です。
生命保険文化センターの調査によると、2019年における死亡者に対する課税件数の割合は8.3%。つまり100人中”8人”しか相続税がかかっていません。
こうした状況から「うちは大した財産がないから関係ない」とか「相続対策は不要」といった誤解が発生しています。
確かに、100人中92人の方は相続税とは無関係かも知れません。しかしながら、相続争いに関する訴訟は年々増えているのも現実です。
遺産総額が少なく、基礎控除枠内(3000万円+600万円×相続人数)で税金がかからないご家庭だったとしても、残された人にとっては大切な遺産です。
たとえ数百万でも、遺産を巡って争い、一家がバラバラになることもあります。ですから、揉め事対策は、ほぼ全ての家庭に必要なのです。
誤解【その2】法定相続分で自分の取り分は守られている
「相続人」及び「遺産の配分」については、確かに法律で決まっています。が、それはあくまでも目安に過ぎません。つまり、必ずしも法律通りに分けなくてもいいのです。
また”自分の取り分”についても、法律で守られている訳ではありません。遺言書や相続人全員での協議によっては、自由に配分を決めることが可能なのです。ちなみに、法律で守られているのは「慰留分」と言います。(法定の1/2〜1/3)。
▼主な相続パターン▼
❶「遺言書」による相続
❷相続人全員の「遺産分割協議」による相続
❸法律(民法)に基づく相続
上記の通り、遺産分割のパターンは、各ご家庭の状況に応じ異なりますので、法定通りに遺産分割が必ずしも取り行われる訳ではありません。ですから、相続人が自分の取り分を法定通りと思って勝手に決めつけてしまうのは、不幸の始まりなのです。
期待をしていた取り分が少なかったり、無くなったりすると「思っていたのと違う」「おかしい、もっともらえるはず」と、期待とのギャップから「怒り」「絶望」「妬み、嫉み」が生まれてきます。
最初からもらえないものと思っていたら、なんとも思わないのですが、人間の脳は貰えるものが貰えないと”損”をしたと思い込み、人と争ってしまう習性があるようです。
相続は、100件あれば100通りの正解があります。法定相続分に拘らず「どう配分するのがベストか?」を、専門家と共にゼロベースで考えていくことが大切です。
誤解【その3】相続の話をするのは不謹慎、親不孝
「元気なうちから相続の話をするなんて縁起でもない」とか、「子から親に相続の話をするのは親不孝」とか、「親のお金をアテにするな」などと言われ、子からしてみれば、相続が発生した時に、揉めないよう話し合って、早いうちに家族で共有したかっただけなのに、その後、二度と相続の話ができなくなったということはありませんか?
早いうちから、相続について家族で考えるのは”親不孝”でもなんでもありません。むしろ早いに越したことありません。
▼家族で早めに話し合うべき理由▼
❶被相続人(亡くなる人)がお金に強いとは限らない
❷被相続人が死期を間近にして正常な判断を下せるかはわからない
❸相続は当事者が複数いる共同プロジェクト
世の中には「お金に強い人」と「そうでない人」がいます。少子高齢社会の縮小経済において、いかに世代間で資産継承をするかは、非常に重要です。
被相続人がお金に強くてリーダーシップがあるなら任せて安心です。しかし、元気なうちは良いですが、後々になると体調次第では、正しい判断を誤る可能性があります。
相続は多くの親戚を巻き込みますが、遺産を残す人だけが納得する分け方は到底「成功」とは言えません。関係者全員が納得して初めて成功する共同プロジェクトです。
「誰にどう残そうが、俺の勝手!」といった、自分だけが納得し、受け取る人を無視するような”ソロプロジェクト”ではないのです。
相続はうまく関わることができれば、家族の絆を強くする”素晴らしい機会”になります。「自分にたくさん残してくれ〜!」と頼むのは“親不孝”かもしれませんが、「家族みんなが納得できるように今から話し合おう」と言うのは”親孝行”ではないでしょうか。
日本人はもしもに備えて生命保険に入るのが好きですが、保険の営業マンに対して「縁起でも無い!」と言ってキレる人はいないでしょう。
もしもに備えて相続について話し合うのは、保険に入るのと同じです。残される家族の幸せを願ってするという点では全く違いがないのです。
家族の繁栄のため、お互いのことをどれだけ考えられるか。「うちは遺産が少ないから相続対策は不要」といったいった視野の狭い考え方は、今すぐ捨てましょう。
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